今は多汗症の治療薬として使われているボトックスは、もともとは眼瞼痙攣や斜視を治すための薬でした。
ボトックスに使われている有効成分には、A型ボツリヌス菌というボツリヌス菌が作る猛毒のひとるがあります。
猛毒のボツリヌス菌が使われるといっても微量であり、多汗症の治療と使う場合は血液中に入れるのではないので、心配の必要はありません。
ボトックスには一時的に筋肉の働きをブロックする効果があります。
筋肉の収縮を弱めるために、筋肉と神経が接合した部分に働きかけます。
このボトックスの性質を生かすことで多汗症治療の他にもシワ治療薬としても使われています。
多汗症は、アセチルコリンという神経伝達物質の指示によりエクリン汗腺から大量の汗が分泌することです。
多汗症の治療として、アセチルコリンの働きを阻止して汗が出るのを抑えるのが、ボトックスの力です。
アポクリン汗腺はもうひとつの発汗源で、これがワキガのもとになっているのですが、ボトックスはこれには働きません。
ボトックスを同じような働きをするA型ボツリヌス毒素製剤には、イプセン社のディスポートや中国製のBTXAがあります。
このうちのBTXAは大変安価であることが売りのようですが、アメリカや欧州ではまだあまり販売されていないようで、日本でもほとんど使われていないのです。
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